MUSIC BIRD|ラグジュアリー歌謡〜第14回「山川恵津子特集」ゲスト:山川恵津子(アレンジャー/作曲家)

MUSIC BIRD 123ch THE 青春歌謡【Premium】

【2017年4月〜9月】ラグジュアリー歌謡

2017年4月1日スタート!
毎週(土)17:00~18:00/再放送=(日)15:00~16:00

●20170701 第14回「山川恵津子特集」
ゲスト:山川恵津子(アレンジャー/作曲家)




●20170701 第14回「山川恵津子特集」
ゲスト:山川恵津子(アレンジャー/作曲家)


01. 小泉今日子♩100%男女交際
(作詞:麻生圭子 作曲:馬飼野康二 編曲:山川恵津子)
*taken from the single「100%男女交際」1986


02. 立花理佐♩キミはどんとくらい
(作詞:真名杏樹 作曲・編曲:山川恵津子)
*taken from the single「キミはどんとくらい」/ album『初恋神話』1987


03. 岡本舞子♩ファンレター
(作詞:阿久 悠 作曲・編曲:山川恵津子)
*taken from the single「ファンレター」/ album『ハートの扉』1985


04. 渡辺満里奈♩秋服のボートに乗れば
(作詞:麻生圭子 作曲・編曲:山川恵津子)
*taken from the album『EVERGREEN』1987


05. おニャン子クラブ(富川春美[14番] 渡辺美奈代[29番] 渡辺満里奈[36番])
 ♩避暑地の森の天使たち
(作詞:麻生圭子 作曲・編曲:山川恵津子)
*taken from the album『PANIC THE WORLD』1986


06. 石井明美♩YOU MAKE ME HAPPY
(作詞:阿木燿子 作曲:筒美京平 編曲:山川恵津子)
*taken from the album『Mona Lisa』1986


07. 八神純子♩Be My Best Friend
(作詞・作曲:山川恵津子 編曲:鈴木 茂)
*taken from the album『THE BEST』1980




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『THRU TRAFFIC』が10年ぶり新装CD再発!


山川恵津子オフィシャルウェブサイト: ETSU STYLE


次回予告 2017年7月8日(土)・9日(日)
第15回「アニソン特集」ゲスト:岩渕尚史
毎週(土)17:00~18:00/再放送=(日)15:00~16:00



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(TOKYO FMコミュニケーションズグループ)
※ご試聴には専用チューナーが必要となります。



ラグジュアリー歌謡~(((80s)))パーラー気分で楽しむ邦楽音盤ガイド538~

↓リスナーの方が放送内容を文字起こしをしてくれましたのでUPしました。<続きを読む>からご覧になれます。
MUSIC BIRD|ラグジュアリー歌謡〜第14回「山川恵津子特集」
ゲスト:山川恵津子(アレンジャー/作曲家)
2017/07/01放送分

藤井陽一(以下、藤井) どうもパーソナリティの藤井陽一です。この番組は私、藤井が監修しましたディスクガイド『ラグジュアリー歌謡』をモチーフに、80年代のポップスを中心とした、洋楽テイストあふれるコンテンポラリーな曲をお届けする「懐か新しい」音楽プログラムです。えーと今回はですね、ついに“ミスラグジュアリー歌謡作家”山川恵津子さんをお招きしてお送りしたいと思います。じゃあまず今日1曲目ですね。小泉今日子で「100%男女交際」。

01. 小泉今日子♩100%男女交際
(作詞:麻生圭子 作曲:馬飼野康二 編曲:山川恵津子)
*taken from the single「100%男女交際」1986

藤井 はい、お送りしましたのは小泉今日子で「100%男女交際」でした。それでは今回、作編曲家の山川恵津子さんをゲストにお招きして、山川さんのお仕事されてきた曲をかけながら、ちょっとその辺をトークしていきたいと思いますので。山川さん、よろしくお願いします。
山川恵津子(以下、山川) よろしくお願いします(笑)。
藤井 それで1曲目、キョンキョンの86年のシングル「100%男女交際」。これはちょうど山川さんが、女性初の編曲賞ということで……
山川 日本レコード大賞編曲賞。最優秀編曲賞、ですかね。
藤井 すいません、かんでしまいました。
山川 いただきました。はい。
藤井 僕、まだ小学校6年生くらいだったと思うんですけど、あの頃レコード大賞とかの番組がよくやられていて、生演奏で。
山川 ああ、テレビでね。
藤井 ああいうのが、すごいやっぱり。いまの自分(の知識)であれを見たいですね、あの頃の豪勢な。やっぱり子供のころにそういう音楽をいっぱい聴けたんで、ラッキーやったなと思って。
山川 なるほど。いまはそういうのが少ないということね?
藤井 まあ少ないですよね。というか、ないですよね、ほとんど。
山川 ないですねえ。うん。
藤井 そういう意味で「ラグジュアリー」やな、と。で、今日の1曲目。小泉さんは数カ月前に『コイズミクロニクル』という。
山川 はい。デビュー35周年ということで、シングルコレクション。
藤井 はい、あの白黒の、おしゃれなアートワークの。あれの初回限定版に入っているブックレットのほうに、山川さんが寄稿されているということで。
山川 初回限定盤? あ、ほんと?
藤井 いや、そこは職業的にいらん情報を言ってしまいましたが(笑)。はい。それで、当時のアイドルの方が30周年とか35周年とか、って考えると歴史がすごい。いま自分が40を超えて、子供の頃に見ていた人たちがまだ現役でいるという現実もあるし、そういう音楽をいまになって聴き直すといろんな音が聞こえて。そしていまこうやって当時の方とおしゃべりしてるというのは、自分には不思議な話で、ホント。
山川 フフフ。
藤井 ええ。ちょっと質問も交えながら、いろいろ今日はやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
山川 よろしくお願いします。
藤井 で、このキョンキョンの曲。以前、『ラグジュアリー歌謡』の本のほうでインタビューさせてもらったときもお伺いしたと思うんですけれども、何パターンかあるという。
山川 そうですね。何パターンというよりは、曲が変わりましたね、実は。発売されているこの曲の前に、同じ馬飼野(康二)さんで、ちょっと違うバージョンで録っていて。もう完パケにして、それで発売か、やれやれ、と思っていた矢先に、曲がちょっと変更になるから、と。
藤井 じゃあ、まったく曲が違うんですか?
山川 まったくじゃないです、はい。
藤井 まあ、変わったということですね。
山川 Aメロとか、全然変わりましたね。
藤井 聴いてみたいですね、前のお蔵入りバージョン。
山川 うーん、そっちもよかったんだがなあ、みたいな。だから詞も変わったし、タイトルも変わったし。
藤井 ちなみにタイトルは覚えていますか?
山川 えーと、「男女交際」は入っていたけど「100%」じゃない……「明るい男女交際」でしたね。はい。
藤井 ああなるほど。たしかに「100%」のほうが、キャッチーですよね。
山川 そうですね。この前の曲が「なんてったってアイドル」だったので、大ヒットしたじゃないですか。だからメーカーのほうも、ね。
藤井 プレッシャーがありましたよね。
山川 うん、担当の方とかがやっぱり。私ももちろんそうですけど。そうですね、1曲目に選んでいただいてありがとうございます。本当に重労働でしたのでね、アレンジが(笑)。
藤井 で、ちょうどこの曲の前に小泉さん、『Flapper』(85)というアルバムで、山川さんが「片想い」って曲とかも(作編曲をしている)。あの、キョンキョンが横を向いているジャケットの。
山川 あー、はいはいはい。そうですか。ちょっと年代がどっちか、覚えてないんですけど。
藤井 ええ。たぶん、あれのあとが、これにつながってきているんで。
山川 ああそうなんですか。
藤井 だから僕が聴いてきたイメージだと、85年ぐらいというと岡本舞子も85年で、やっぱりビクター系列。
山川 そうですね。
藤井 ね。そういう流れもあったんでしょうね。
山川 あったんでしょうねえ。「お前は犬会社の手下か」みたいな感じで言われていましたから(笑)。まあビクターの仕事は、決して少なくはなかったと思いますよ。
藤井 だからちょっと、一発目にこの曲を。はい。
山川 ありがとうございます。
藤井 じゃあ、次はその翌年ですかね。立花理佐さん。
山川 ああはい、翌年なんだ。そうかー。
藤井 ええ、87年。これが「キミはどんとくらい」という曲。たぶん彼女が(日本レコード大賞最優秀)新人賞をもらった曲ですね。
山川 そうです、そうです。
藤井 よくドラマにも出だして。この曲、すごく好きで。僕が記憶にある中では、岡本舞子とかももちろん好きやったですけども、「山川恵津子」って名前をだんだん認識してきたのがこの頃で。歌番組でも、番組によって作詞作曲は出てもアレンジが出ないパターンが多かったんですよ。だからたぶん僕はレンタルレコードでこれを借りて、ダビングしているときにいろいろ見ていてこの漢字の字面をすごい覚えていて。
山川 はあはあ。これは、たしか曲も書いてますよね?
藤井 曲も書いてます、はい。じゃあ次は立花理佐で「キミはどんとくらい」、聴いてもらいます。

02. 立花理佐♩キミはどんとくらい
(作詞:真名杏樹 作曲・編曲:山川恵津子)
*taken from the single「キミはどんとくらい」/ album『初恋神話』1987

藤井 はい。お送りしましたのは、立花理佐で「キミはどんとくらい」でした。山川さん、この曲、87年で作編曲をされていて。何か思い出とかは。
山川 これは作詞が真名杏樹さんじゃない? 詞を後に付けていただいて。いわゆる曲先(きょくせん)と呼ばれているんですけども。先に「ラララ……」でデモをお渡しして。「キミはどんとくらい」っていうタイトルなんですけど、ど頭がサビからじゃないですか、これ。それが、「♪きーみーはーどんとくらい、どんとくらい」というのは、「どんとくらい、どんとくらい」ってところは音が4個なんですよね。don't cry, don't cry、っていう。き、み、は、ドン、クライ、ドン、クライ。すごく残るじゃないですか。「いやー、真名さんかたじけない」って思いましたね(笑)。こういう風にプロの作詞家さんが付けてくれないことには、曲がやっぱり生きてこないっていう本当にいいお手本ですよ。素晴らしい。……素晴らしい!(笑)
藤井 これは出だしで完全に残りますもんね。
山川 そうなんです。いま言った逆のパターンもあるんですけどね。こう来てほしいな、と思うところでベッタリしちゃうときは、アレレレ、ってなるんですけど。これはもうほんと「シメシメ」って思いましたよ。
藤井 けっこう、完璧な感じ。
山川 完璧ですよね。
藤井 完璧な曲、をお送りしました(笑)。
山川 ありがたかったです、本当に。
藤井 ほんと、いいですねこれ。
山川 だから詞先(しせん)のときは──わたし、詞先大好きなんですけど、曲がそうならないようにメロを付けていったりしますけど。曲先だとどういう風に作詞家の方が乗せてくるかわからないので、ときどき頭を抱えるようなこともあるんですね。実はね。でもこれはほんと、「真名さんありがとう」って思いました。うん。
藤井 自然と歌詞を覚えますもん、リズムとメロディがすごいいいバランスで。
山川 ねー。「どんとくらい」なんて。
藤井 しゃれてますよね、ひらがなで「どんとくらい」って。3分33秒。この頃の曲、やっぱり3分台が多いですよね。
山川 そうですか。まだ4分行ってない? その頃。
藤井 4分のも中にはありますけど、まだシングル曲ってやっぱり3分とか。
山川 はあ。だんだん長くなる傾向が、ね。
藤井 長くなってきますよね。だから「3分間ポップスの美学」というのが、やっぱりなんかあるんですよ。
山川 ふーん。その前の時代は、2分台とかありましたよね。
藤井 カップヌードルとか、3分じゃないですか。だから人間が一番こう……
山川 うん。あ、いま「カップヌードル」って言ったのね。よくわからないままうなずいたけど(笑)。
藤井 ハハハ。滑舌わるいんで、すみません(笑)。
山川 大丈夫ですよ、藤井くんとは仲良しなんで(笑)。
藤井 すいません。ちょっと、はっきりしゃべります(笑)。じゃあどんどん曲に行きたいと思うので。次は時代がちょっと前に行くんですけど、岡本舞子さん。もう、大好きなんですけど。山川さんとは何度も質問して、この話は聞いているんですけど、ファーストアルバムの『ハートの扉』(85)というのが85年に出て、山川さんがオールアレンジされていて。
山川 そうでしたねえ。
藤井 ええ。85年の頃って、アイドルも色ががらっと変わるんですよね。
山川 あ、そう。さすがだ。
藤井 84、85年頃から、やっぱりちょっとパステル調のポップな色になっていくというか。まあ自分の年齢もあるのかもしれないですけど(笑)、時代の音楽が変わるんですよ、84と85で。
山川 ああそう。さすが。ほんと。アタシなんかほら、必死で働いてるからさ(笑)。色なんか知らないよ、ハハハ。
藤井 色は、僕がいま勝手に言いましたけど(笑)。だからこれ、10曲入ってますけど全部、作編曲が山川さんで。アルバム通して、アイドルの作品でって、珍しいんですよ、こういうの。
山川 そうかもしれない。これもね、ビクターでしょ。「犬の回し者」って、こういうのやってたから言われちゃったんだけど(笑)。
藤井 だから、ある種アイドルソングというよりも、ニューミュージックの流れというか。
山川 そうですね。あんまり意識しなかったですけど。
藤井 ええ。だからそれがあって、このアルバムって、「アルバム通して良い」と思ったアルバムでもあるんですよ。やっぱりアイドルの人って、シングルの曲が目立っちゃうパターンが多いと思うんですよね。これはけっこう、通してコンセプチュアルな感じがあって。
山川 担当の制作の方と非常に音楽的なアレが。
藤井 小池さん。
山川 そうそう、小池秀彦さんっていう人と。
藤井 キーボードが上手な方ですね(小池秀彦はデビュー前のカシオペアのキーボーディスト)。
山川 うまいですよー。私が疲れて「代わりに弾いといてくれる?」って言ったら弾いてましたから(笑)。
藤井 たけしさんもビクターですね。
山川 そうです。(小池さんは)身長が190くらいあるので、圧迫感があるんですけどね。
藤井 そしたら次、岡本舞子の曲を。セカンドシングルの「ファンレター」を今日は聴きたいと思います。岡本舞子で「ファンレター」。

03. 岡本舞子♩ファンレター
(作詞:阿久 悠 作曲・編曲:山川恵津子)
*taken from the single「ファンレター」/ album『ハートの扉』1985

藤井 はい。お送りしましたのは岡本舞子のセカンドシングル、「ファンレター」でした。山川さん、この曲や85年の頃について何か覚えていることはありますか。
山川 これ、セカンドシングルということでご紹介いただいたんですけど……
藤井 「愛って林檎ですか」の次ですね。
山川 作った時期はほぼほぼ一緒なので。その制作の方から、「今回は全部、阿久悠先生の詞先で行くから」って言われて、一気に詞が全部来て、一気に作ったんですよ。「ファンレター」も「愛って林檎ですか」も。そのときに、「阿久先生は一言一句直さない」って告げられてですね。私、詞先というのがもしかしたらこのとき初めてだったかもしれなくて。わりと詞先より曲を先に作る方のほうが多いのかもしれないんですけど、私は詞があったほうが断然書きやすくてですね。で、一気にいろいろいただいて、「ファンレター」はどうしようかなと思ったときに、その制作の小池さんが「これは山のような、ダーンって感じがいい」と言われて。そんな感じしません?(笑)
藤井 ええ、ええ。なんか、僕の中では最初に海が見えて。海の夕焼け感。
山川 海見えました? そうですか。私は、そびえ立つ山みたいな感じで、スケール感があって、って言われて。「でもなあ、私のおしゃれっぽい感じが出せないな」って思ってたんですけど(笑)。いま聴いてたら、だんだん小技が登場してきますよね。
藤井 うん、間奏とかで出てくるんですよね。
山川 ねえ。やっぱり、「このままじゃ黙ってないよ?」みたいな(笑)。いやー、懐かしいですけど。
藤井 この曲、ほんとにファンの方が多いですよ。
山川 そうですか。自分で言うのも変ですけど、コーラスも私がやっているんですけど、アルプスとまではいかないけど清涼感のあるコーラスがそこここに(笑)。そんなのもきっと反映されたのかなと思いますけど。
藤井 はい。ハーモニーがある曲っていうのが、耳に残ります。
山川 そうですね。この曲に限らずなんですけど、アイドルっていうのはコーラスが必須アイテムだったんですよ。いま聴くと舞子ちゃんも「歌がうまいな」って思うけど、やっぱりアイドルって歌がうまくないという見方をされていたので、なんせコーラスで覆い尽くそうという作戦で。まあたいてい、私のアレンジだけじゃなくて、どこにいってもコーラスが入っているのがほとんどでしたね。
藤井 当時の80年代のポップスに特に思うのが、ヴォーカルがいて、コーラスがあって、演奏があるじゃないですか。全部のパーツが、ジオラマというか、ひとつの箱庭空間になっているというか。
山川 ふーん。
藤井 全部が主役というか、何が欠けてもだめみたいな。
山川 それがアレンジャーの仕事ですからね。
藤井 そうです。それがすごい、際だって聞こえる時代の曲ですね。
山川 そうですね。私がアイドルといわれるジャンルのアルバムを丸ごと「曲編」でやらせていただいたのはこれが本当に最初の作品で。ストリングスが好きというのもありましたけど、ただ白玉でボウイング、じゃなくって、それだけ聴いてても曲になるというような熱量が多いですね、私もね。「休ませないぞ」って。
藤井 ほんと、休ませてくれないですね。
山川 休ませてないんですけど、全部で聴くと濁ってない、っていう。ほんと、細かいんですよ。レース編み。ジオラマっておっしゃっていただきましたけどね、ほんとにそんな感じだと思いますよ。
藤井 ああ、レース編み。いいですね、わかりやすいです。じゃあ岡本舞子の次は、87年ですね、渡辺満里奈。セカンドアルバムの『EVERGREEN』も、山川さんがオールアレンジ。
山川 ああ、そうですか。
藤井 今日もどれをかけようか悩んだんですけど、あえてシングルの曲よりも、しっとりした曲を挟んでいきたかったので。これに入っている「秋服のボートに乗れば」という曲を聴いていただきます。

04. 渡辺満里奈♩秋服のボートに乗れば
(作詞:麻生圭子 作曲・編曲:山川恵津子)
*taken from the album『EVERGREEN』1987

藤井 お送りしましたのは、渡辺満里奈のセカンドアルバム『EVERGREEN』から、「秋服のボートに乗れば」でした。山川さんのオールアレンジですね。
山川 ふーん。いまアルバムが目の前にあるんですけど。ほんとだ。
藤井 30年前ですよ、もう。30周年。
山川 そうか、30周年か。その、「秋服のボートに乗れば」?
藤井 はい。このアルバムの中でもちょっと渋い曲っていうか。
山川 そうですねえ、いま聴いてびっくりしましたけど。このテンポはなかなかの冒険だったと思いますよ(笑)。まあ1曲こういうのも入れておこうか、という感じでしょうけれども。
藤井 ほかの曲はもうちょっとラテンっぽかったり、ポップな曲が多くて。この曲はしっとりした大人な感じで、ええ。ギターもすごいかっこよくて。鳥山(雄司)さんですかね?
山川 なんとなくそんな記憶が。音からすると。音をダビングしてるから。
藤井 最近、『EVERGREEN』のこのジャケットをオマージュした現役のアイドルもいたりするくらいで(井出ちよの『もうすぐ高校生活 E.P.』)。
山川 あっ、そうなの? へえ。
藤井 ええ。僕がいま44なんですけども、この年代の人がこういう業界にいて、そういうのをモチーフにやる人がいる時代に変わってきたんですね。じゃあ、この流れでおニャン子クラブに行っていいですか。
山川 はい。
藤井 曲もほんと悩んだんですけど、とりあえず今日はこれを聴きたいと思いまして。
山川 なんでございましょう。
藤井 アルバム『PANIC THE WORLD』に入っている、「避暑地の森の天使たち」を聴いてください。

05. おニャン子クラブ(富川春美[14番] 渡辺美奈代[29番] 渡辺満里奈[36番])
 ♩避暑地の森の天使たち

(作詞:麻生圭子 作曲・編曲:山川恵津子)
*taken from the album『PANIC THE WORLD』1986

藤井 お送りしましたのは、おニャン子クラブの『PANIC THE WORLD』に収録されている「避暑地の森の天使たち」でした。これ、歌ってる方を(会員)番号順に言うと、富川春美さん(14番)、渡辺美奈代さん(29番)、渡辺満里奈さん(36番)。
山川 ああそう、3人でね。
藤井 これ『夕やけニャンニャン』で初めて聴いたんですよ。この曲好きで。好きな方、多いんですよこの曲、本当に。おニャン子ファンに限らず人気があります。
山川 そうですか。ありがとうございます。
藤井 なんか、「裏おニャン子」でしたっけ、ベスト盤。
山川 そうですね、「表ニャン子」「裏ニャン子」っていうCDがうちに送られてきたんだけど(『ULTRA NYANKO〜OMOTE SPECIAL』『ULTRA NYANKO〜URA SPECIAL』)。それの「裏」っていうほうのCDは、ほとんどが私の曲だと言ってもいいくらい。裏なんですかね、山川っていうのはね。
藤井 実際、アルバムに入ってるいい曲って山川さんの曲ばっかり……
山川 ま、そういうこと(笑)。これは「セーラー服を脱がさないで」のハネた、おニャン子クラブの代名詞みたいなリズムで作ってみようかな、というところから始まった気がしますね。これは詞先ではなくて曲先ですね。
藤井 モータウンまで行かないですけど、疾走感がすごくて。ちょうど当時、86年ぐらいかな、イギリスにコンパクト・オーガニゼーションというレーベルがあったんですよ。マリ・ウィルソンとか出している。
山川 うんうん。
藤井 そこの作品が結構好きで。トット・テイラーっていうレーベルのオーナーがいまして、彼は昔の60'sの音楽が大好きで、それを80年代のニューウェイブの時代に採り入れて、打ち込みでモータウンサウンドをやるみたいな感じだったんですよね。ああいう音楽を好んでいたので、おニャン子のアルバムを年齢行ってから聴いたとき、そこで並行してイギリスのモダンなものがすごいあるな、ってイメージで。
山川 まあ、そういうのはまったく意識してなかったんでしょうけど、私の中でハネたものってそんなに得意としていなかったので、「キックのパターンはどうしたらいいんだろう」とかアレンジ的なこともありましたし。
あとそれ以外には、おニャン子クラブの曲を作るにあたって大事なところは、メンバーが多いじゃないですか。これはたまたま3人ってことですけど、常に「掛け合い」みたいなことを要求されるんですよ。
藤井 ああ、そっか。
山川 で、要求される前に、そもそも録る前から「おニャン子はそうやって作るものだ」ってインプットされていたので。追っかけみたいな、文字を1個ずつ違う人が歌って、ひとつのセンテンスになってるみたいなパターンが出てきてるでしょう? この曲だけじゃなくて、他の曲でもあるんですけど、そういう作り方が多いですね、おニャン子クラブは。
藤井 なるほどなるほど。
山川 だから作るときもそれを意識して。デモを作るんですけど、私一人が当然歌いますよね。そのとき、1個のトラックに歌を入れるんじゃなくて、別のトラックで別の人が歌ったようにやらないと作詞家に伝わらないので、そういうふうにやっていきましたね。
藤井 Aさん、Bさん、Cさんでちょっと声も変えて。
山川 そうですね、明らかに違う人が歌っているように。まあL/Rにしたりとか、ちょっとどうやったかは忘れましたけど。
まあとにかく、おニャン子クラブって『夕やけニャンニャン』からですよね? もしかしたら、最初のシングルがヒットしたらすぐにアルバムに取りかかる、と。私はヒットするに決まってると思っていたんですけど、メーカーのポニーキャニオンがもうほんとに「すぐ作るぞ」というので。本当に時間がない中、どんどん、どんどん、どんどん(笑)作っていってたので。曲がOKかどうかも電話確認なんですよ。
藤井 ああ、時代ですもんね。
山川 いまみたいにデータを送れないから、電話がかかってくるんです。「どう、できてる?」「途中までだけど」「聴かして」とかいって(笑)。電話でいいの? みたいな。
藤井 受話器あてて(笑)。
山川 「ああ、良い良い。それで作っといてー」みたいな(笑)。そんなような。
藤井 すごいですね(笑)。
山川 すごいですよねえ、本当に。私でよかった、みたいな。ハハハ。
藤井 よかったですよ、ほんと。
山川 というか本当に、担当の方とも息が合っていたからだと思いますけどね。
藤井 そこ大事ですよね、制作陣の方はまず。
山川 そうですね。
藤井 いやちょっと、おニャン子クラブはねえ、ほんと。言うても、期間的にはそこまで長くないですもんね。でもその間に、出してる量がすごいですよね。
山川 すごかったですよね。人数も一体何人いたのか。とにかく、歌のために──いまはPro Toolsで無限にトラックが使えますけど、この頃は24(トラックレコーダー)をスレーブで回して、48トラックしかなかったんですよね。アナログレコーディングだったので。歌のためには、普通だったら2つ、3つ空けておけばいいところを、最初からすごいんですよ、「(トラックを)空けておいてくれ」って要求が。だから、楽器のチャンネルを有効に無駄なく使っていかなくちゃいけないので、わりと数学的なところが必要だったですね。まあ意外と私のアレンジは、耳で聴いて派手なわりにはトラックが少ないということで。……何気なくいま、「無駄な音は入ってないよ」と(笑)。失礼いたしました! 言ってよー(笑)。
藤井 いや、あえてちょっとそこは(笑)。昔のオーディオに近いですね。昔のオーディオもしっかりしてて、いま聴いても音がいい。作りがシンプルで、いまでは作れないんですよね。そういうたとえで、伝わらなかったかもしれないですけど(笑)。
山川 まあまあまあ(笑)。
藤井 はい。じゃあちょっとアイドル系が続いたんですけど、次はがらっとアダルト路線へ。流れ的に、石井明美さん。86年。ヒットシングルで「チャチャチャチャ」の……
山川 一個多くないですか?(笑)
藤井 「CHA-CHA-CHA」や、3つやね(笑)。それが入っている『Mona Lisa』っていうアルバムがあるんですけれども、それに入っていて、もうほんとラグジュアリー歌謡なんですよ。ちょっとアダルトな品のある、大人っぽい曲で、「YOU MAKE ME HAPPY」という曲があるんですけども。これ、筒美京平さんが曲で、山川さんがアレンジをされています。
山川 いやーそうですか。
藤井 石井明美で「YOU MAKE ME HAPPY」です。

06. 石井明美♩YOU MAKE ME HAPPY
(作詞:阿木燿子 作曲:筒美京平 編曲:山川恵津子)
*taken from the album『Mona Lisa』1986

藤井 お送りしましたのは石井明美で「YOU MAKE ME HAPPY」でした。作詞が阿木燿子さんで、作曲が筒美京平さん、アレンジが山川恵津子さん。この、「CHA-CHA-CHA」のイメージとはまったく違う。
山川 違いますよねえ。私これ、正直なところほとんど記憶になくて。曲が京平さんでしょう? 京平さんのときはすごい緊張するんで、たいてい覚えてるんですけど。うーん、なんか京平さんの曲っぽくない、というとちょっと変だけど。
藤井 あ、わかります。うん。
山川 なんか違う感じがしますよね。でも「何か埋めなければ」というアレンジャーの宿命で、後ろで(ヴァン・マッコイの)「The Hustle」みたいなシーケンスが(笑)。♪トゥットゥットゥットゥル、っていうね。ソフトな音で。あれがあることによって退屈させないぞ、っていう。
藤井 ああなるほど。すごい。
山川 やっちゃっていいのかな、って思いながら書いたのをいま思い出しました(笑)。
藤井 残ってますから、大丈夫だったんですね。
山川 バレないような音色にして、みたいな(笑)。
藤井 よかったです、いまそれが聞けて。隠れキャラを見せたみたいな(笑)。
山川 でもあれがないときっと退屈だよ。
藤井 なるほど、サブリミナル効果が。いやいや、面白い話が聞けてよかったです(笑)。
山川 えへへ。
藤井 でもあっという間にね、時間が経つのは早いもので。
山川 あ、そうですか。もう?
藤井 もうラストソングに向かってきて。いま「カックラキン大放送!!」が終わるみたいなイメージなんですけども(笑)。じゃあ最後、八神純子さんの曲で締めたいと思うんですけれども。「Be My Best Friend」という曲。たしか80年の曲なんですけれど、山川さんが作詞で参加されているんですよね。珍しいですよね、作詞作曲が山川さん。編曲が鈴木茂さん。
山川 ハハハ。いやいやいや。ほんとはアレンジもやりたかったんだよね、自分で。でも、ずっとお聞きいただいた中で、一番古いと思うんですけど。
藤井 一番古いですね、今日かけた中では。
山川 アイドルに手を染める前のお話でございまして。ほんとに洋楽しか聴いていなかった時代なので、ほんっと、アレンジまでやりたかったです(笑)。鈴木茂さんには申し訳ないんですけど、これこそアレンジも込みで考えていたので。という、思い出があります。
藤井 じゃあ2017年バージョンをやってくださいよ、アレンジ。歌ってもらって、山川さんに(笑)。
山川 ハハハ。
藤井 じゃあ今日のラストソングで、八神純子で「Be My Best Friend」。進行は藤井陽一がお送りしました。山川さん、どうもありがとうございました。
山川 ありがとうございました。

07. 八神純子♩Be My Best Friend
(作詞・作曲:山川恵津子 編曲:鈴木 茂)
*taken from the album『THE BEST』1980
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プロフィール

藤井陽一

Author:藤井陽一
<発売中>
ラグジュアリー歌謡〜(((80s)))パーラー気分で楽しむ邦楽音盤ガイド538〜
(DU BOOKS刊)

「ラグジュアリー歌謡 X Tower to the People」シリーズ
伊藤つかさ『つかさ』
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斉藤とも子『たけくらべ +2』
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つちやかおり『BLACK & WHITE +3』

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