MUSIC BIRD|ラグジュアリー歌謡〜第10回「機材で語る80年代ラグジュアリー歌謡」ゲスト:佐藤清喜(マイクロスター)

MUSIC BIRD 123ch THE 青春歌謡【Premium】

【2017年4月〜新番組】ラグジュアリー歌謡

2017年4月1日スタート!
毎週(土)17:00~18:00/再放送=(日)15:00~16:00

●20170603 第10回
「機材で語る80年代ラグジュアリー歌謡」
 ゲスト:佐藤清喜(マイクロスター)




●20170603 第10回
「機材で語る80年代ラグジュアリー歌謡」
 ゲスト:佐藤清喜(マイクロスター)


01. 工藤夕貴♩Touch Me Summer
(作詞・作曲:EPO 編曲:大村憲司)
*taken from the album『STRAWBERRY TOWN』1986


02. 矢野顕子♩ひとつだけ
(作詞・作曲:矢野顕子 編曲:坂本龍一)
*taken from the single b/w「ごはんができたよ」1980


03. イモ欽トリオ♩ハイスクールララバイ
(作詞:松本 隆 作曲・編曲:細野晴臣)
*taken from the single「ハイスクールララバイ」1981


04. スーザン♩サマルカンド大通り
(作詞:菊地真美 作曲・編曲:高橋幸宏)
taken from the single「サマルカンド大通り」1982


05. 小池玉緒♩鏡の中の十月
(作詞:売野雅勇 作曲・編曲:YMO)
*taken from the single「鏡の中の十月」1983


06. 高見知佳♩くちびるヌード
(作詞・作曲:EPO 編曲:清水信之)
*taken from the single「くちびるヌード」1984


07. 矢野有美♩夏への手紙
(作詞:高橋 修 作曲:松浦雅也 編曲:岡田 徹)
*taken from the single「夏への手紙」1985


08. 江戸真樹♩右あがりの初恋
(作詞:麻生圭子 作曲:古田喜昭 編曲:戸田誠司)
*taken from the single「右あがりの初恋」1986


09. ジャッキー・リン&パラビオン♩ロマンスの扉
(作詞:有川正沙子 作曲:杉山清貴 編曲:船山基紀)
*taken from the single b/w「Strangers Dream」1987


10. KEDGE♩Chime
(作詞:杉本直子 作曲・編曲:冨田KH)
*taken from the single b/w「It's So Easy」1988


11. 岡田有希子♩ストライプのジェラシー
(作詞:三浦徳子 作曲:馬飼野康二 編曲:松任谷正隆)
*taken from the album『FAIRY』1985


12. 浅香 唯♩Believe Again
(作詞:麻生圭子 作曲:中崎英也 編曲:萩田光雄)
*taken from the single「Believe Again」1988


※ゲスト:佐藤清喜(マイクロスター)〜選曲(02〜10)



マイクロスター 2ndアルバム好評発売中!
『シー・ガット・ザ・ブルース』(CD / LP)



次回予告 2017年6月10日(土)・11日(日)
第11回「南野陽子特集〜前編〜」
毎週(土)17:00~18:00/再放送=(日)15:00~16:00



ラグジュアリー歌謡~(((80s)))パーラー気分で楽しむ邦楽音盤ガイド538~

↓リスナーの方が放送内容を文字起こしをしてくれましたのでUPしました。<続きを読む>からご覧になれます。
MUSIC BIRD|ラグジュアリー歌謡〜第10回「機材で語る80年代ラグジュアリー歌謡」ゲスト:ゲスト:佐藤清喜(マイクロスター)
2017/06/03放送分

藤井陽一(以下、藤井) どうもパーソナリティの藤井陽一です。この番組は私、藤井が監修しましたディスクガイド『ラグジュアリー歌謡』をモチーフに、80年代のポップスを中心とした、洋楽テイストあふれるコンテンポラリーな曲をお届けする「懐か新しい」音楽プログラムです。さて今回はですね、マイクロスターというポップユニットの佐藤清喜さんをお招きしてお送りします。その前にまずはこの曲からお聞きください。工藤夕貴で「Touch Me Summer」。

01. 工藤夕貴♩Touch Me Summer
(作詞・作曲・コーラスアレンジ:EPO 編曲:大村憲司)
*taken from the album『STRAWBERRY TOWN』1986

藤井 はい、1曲目にお送りしたのは、工藤夕貴の3rdアルバム『STRAWBERRY TOWN』収録の「Touch Me Summer」でした。こちら作詞作曲とコーラスアレンジがEPOさんで、アレンジのほうが大村憲司さんになります。改めまして、今回ゲストにマイクロスターの佐藤清喜さんをお迎えして、お送りします。佐藤さんよろしくお願いします。
佐藤清喜(以下、佐藤) よろしくお願いします。
藤井 はい。佐藤さんは星野みちるさんや脇田もなりさんのプロデュース等、あとご本人のポップユニット、マイクロスターとして大活躍で。すごい、往年のポップスを現代のフィルターに通してマニア泣かせな曲を作ってくれて、僕も大好きなんですけれども。
佐藤 ありがとうございます。
藤井 『ラグジュアリー歌謡』の本にも参加していただいたので、今日はいろいろ、機材とかを踏まえて80年代の……
佐藤 そうですね、80年代のテクノ歌謡を機材の進歩とともに、ちょっと検証してみようかと。
藤井 勉強ですね。全然わからないので。
佐藤 だから普段この番組でかかるようなマニアックな曲というよりは、わりとそこそこヒットした曲を紹介しながら、当時使われていたであろうシンセサイザーとかそういうものについて。80年代は機材の移り変わりが激しかった時代なんで、そういうのを考えてみたいと思います。
藤井 すごい、楽しみです。そうしたら1曲目、まずはどこから行きましょうか。
佐藤 まず1980年から行ってみたいと思います。これはYMOが参加した、矢野顕子さんの「ごはんができたよ」というシングル盤のB面に入ってます、「ひとつだけ」という曲を聴いてください。

02. 矢野顕子♩ひとつだけ
(作詞・作曲:矢野顕子 編曲:坂本龍一)
*taken from the single b/w「ごはんができたよ」1980

藤井 お送りしましたのは矢野顕子で「ひとつだけ」でした。はい。
佐藤 これはYMOバックで、当時のYMOの全面参加。最初に聞こえるシーケンスは松武(秀樹)さんによるもので、坂本龍一さんの演奏に、細野(晴臣)さんは生ベース、(高橋)幸宏さんは生ドラムを叩いてますけども。ほんと、当時のYMOの感じですよね。だんだんシンセサイザーを使った音楽が浸透してきたのがこの1980年かなと。で、そのうちテクノ歌謡で大ヒットが生まれるんですけど、次にかけたいと思っているのがイモ欽トリオの「ハイスクールララバイ」。細野さんの作曲ですけども、これが大ヒットします。
藤井 欽ちゃんの。
佐藤 ええ。欽ちゃんの番組(『欽ドン!良い子悪い子普通の子』)から出てきたというのもあって、YMOっぽいテクノ歌謡がお茶の間に流れるというふうになっていくわけなんですけども。まずはちょっと聴いてもらいましょうか。イモ欽トリオで「ハイスクールララバイ」。

03. イモ欽トリオ♩ハイスクールララバイ
(作詞:松本 隆 作曲・編曲:細野晴臣)
*taken from the single「ハイスクールララバイ」1981

藤井 いやあ懐かしい。子供の頃これよく見てましたね、テレビで。
佐藤 これってドラムは幸宏さんだと思うんですけど、生ドラム以外はほとんどシンセで、いかにも当時のYMOがやったであろうテクノポップという感じ。振り付けも、YMOっぽい振り付けがあったじゃないですか。あれも含めて、お茶の間にテクノポップがこれで浸透したという、記念すべき曲だと思いますけれども。これが81年。もうじわじわと時代はテクノ歌謡に移ってきた感じで、シンセサイザーが使われるのも当たり前になってきたと。だから、この頃から僕もシンセサイザーが欲しいなと思っていたわけですよ。
藤井 当時佐藤さんは何歳ですか。
佐藤 81年だと、中2ですかね。僕、中2の夏にシンセサイザーを買うんですよ。もう、そこからですね。僕もその頃から機材を追っているし、テクノ歌謡の歴史とつながっていくような感じで。
藤井 周りって、いらっしゃいました? (最初の楽器は)ギターというイメージがありますけど。
佐藤 ああ、でも僕の周りはけっこうYMO好きが多かったんで。だから僕がシンセサイザーを買って、友達が遊びに来て、感化されて友達も買うと。
藤井 ああなるほど。
佐藤 で、友達が買ったシンセサイザーをうちに持ち込んで、YMOみたいなことをやるっていうね。すごくオタクなサークルが(笑)。
藤井 ちょっと贅沢な遊びですよね。いいおもちゃみたいな。
佐藤 そうそう。それを録音して楽しんでた、というような中学生生活でしたね。
藤井 イメージなんですけど、その頃ってシンセサイザーとかも雑誌に頻繁に出てましたよね。広告にも、電化製品の冷蔵庫とかテレビみたいな感じでドバッと載っている感じがあって。
佐藤 そうそう、家電メーカーまでシンセサイザーを出し始めたという。家電メーカーというか、テクニクスとかオーディオ関係のね。カシオとか、いろんなメーカーが出していたんですよ。じゃあ次、82年に行きましょうか。82年はもう、YMO全盛期ですね。次にかけるのは、スーザンという歌手がいまして、高橋幸宏さんプロデュースでアルバムを出してるんですけども。当時のサンヨー夏のキャンペーンソングになってます、「サマルカンド大通り」という曲を聴いてください。

04. スーザン♩サマルカンド大通り
(作詞:菊地真美 作曲・編曲:高橋幸宏)
taken from the single「サマルカンド大通り」1982

藤井 はい。スーザンでサンマルカン……あ、サマルカンドですね。なんか「サンバルカン」みたいな(笑)。
佐藤 はい、「サマルカンド大通り」でした。ほんと、幸宏さんのソロアルバムを聴いているかのようなサウンドですよね。このくらいの時代から、YMOでは定番となったプロフェット5(Prophet 5)というのが使われはじめます。すごい特徴的な音で。YMOでは、だんだん松武さんの音よりも、本人たちの作るプロフェットのサウンドが多くなってきたような時代ですね。
藤井 YMOのアルバムでいうとどの辺なんですかね。
佐藤 『BGM』('81)ぐらいからかな。だんだん、サウンド的に洗練されていくというか、洋楽っぽい感じに洗練されてきた感じです。これが83年になるとどうなっていくのかということで、次の曲を聴いてみましょうか。小池玉緒さんで「鏡の中の十月」を聴いてください。

05. 小池玉緒♩鏡の中の十月
(作詞:売野雅勇 作曲・編曲:YMO)
*taken from the single「鏡の中の十月」1983

藤井 むちゃくちゃ気持ちいいですね、やっぱり。
佐藤 気持ちいいよね。これもYMOが全面的にバックアップで、たぶん『浮気なぼくら』から『サーヴィス』の間くらいになるのかな。ちょうどその頃の音の感じというかね。僕の中でテクノ歌謡の最高峰。すごい、完成度の高いものだなあと。で、この頃から、幸宏さんの生ドラムというよりは、リンドラム(Linn Drum)というのが使われはじめて、全部打ち込みでドラムをやるようになるんですね。だから生演奏がどんどん減っていって、打ち込みがほとんどになってくる。もちろん坂本さんの手弾きとか、ピアノとかは入ってますけど、だんだんサウンドも変化が起こってくると。
ちなみにこれはエンジニアをされているのが、アルファレコードのエンジニアであった寺田康彦さん。さっきの「ハイスクールララバイ」のミックスとかも寺田さんなんですけども。寺田さんのミックスって、音の粒がバシバシ、はっきりしてて。とにかくドラムが大きくて、ドラムと歌がまず前面に出てくるような、すごくメリハリのきいたミックスなんですよね。
藤井 すごい、耳に入ってくるときに気持ちいいんですよね。
佐藤 そうそう。僕、寺田さんのミックスが大好きで、ついつい選んじゃうんですけど。
藤井 83年まで来ましたね。
佐藤 84年、行ってみましょうか。これ、どっちいきますか。こっちかな……
藤井 悩みますよね。ちなみにいま、高見知佳さんの「くちびるヌード」と安田成美さんの「(風の谷の)ナウシカ」がありますけど。
佐藤 ここは、こっちの話のほうがいろいろあるかな。高見知佳さんで「くちびるヌード」を聴いてください。

06. 高見知佳♩くちびるヌード
(作詞・作曲:EPO 編曲:清水信之)
*taken from the single「くちびるヌード」1984

藤井 はい。高見知佳さんで「くちびるヌード」。もう、イントロでもう……
佐藤 最高ですよね。
藤井 いつ聴いても、フワッて来ますよね。
佐藤 持っていかれるというかね。うん。
藤井 これは資生堂の春のキャンペーンソングですね。
佐藤 作曲がEPOさんでアレンジが清水信之さん。で、これは僕と藤井くんもよく知っている、森達彦さんという人がシンセサイザーオペレーターとして参加してまして。なんというか、森さんの音もすごい特徴があるんですよ。森さんは、さっきここでも話が出たプロフェットというシンセを使っているんですけど、森さんが使っているのはプロフェット10といって、プロフェット5が2台分入っているというシンセだったんですよ。畳一畳分くらいあるんじゃないかという、すごい大きなシンセサイザーなんですけども。ドラムはこれはリンドラムですけど、リンドラムとほぼプロフェットが使われているんじゃないかな、という感じです。
森さんの音は、太くて、それでいて立つ音なんですよ。例えばこのイントロの音にしても、琴みたいな音をシンセでやっているんですけど、ああいうのってなかなか粒立ちのいい音を作るのが難しいんです。で、森さんに「あの音はどうやってやってるんですか」と聞いたら、プロフェット10というのは(プロフェットが)2台分使えるので、1台分でアタックだけ、要はカツンというアタックの音だけを作って、もう1台のほうで弾いたあとのポローンっていう余韻の部分を作って、それを混ぜてひとつの音として使っているんだそうです。なるほどな、と思って。
藤井 すごいですね、森さん。
佐藤 そうなんですよ。僕もいまはプロフェットを持ってるんですけど、1台で作ろうとしてもなかなかあの音が出ないから、どうやってるんだろうなと思ってて。そこで謎が解決したというね。
藤井 それは試したことはありますか、佐藤さんも。
佐藤 いや、僕は2台分はできないから。それは森さんが使っていたプロフェット10というのでしか作れない音なんだなと思いました。
藤井 ああなるほど。いや、すごい。ちょっとメモっておきます(笑)。
佐藤 じゃあちょっと85年に行きましょうか。これ、どっちですかね。こっち行きますか。
藤井 はい。ちなみにいま、矢野有美さんの「夏への手紙」と……
佐藤 安野ともこさんの「MYSTÉRIEUX」の2枚で悩んでたんですけども。
藤井 悩むところですよね、これは。矢野さんで行ってみましょうか、気分で。
佐藤 では矢野有美さんで「夏への手紙」をお聞きください。

07. 矢野有美♩夏への手紙
(作詞:高橋 修 作曲:松浦雅也 編曲:岡田 徹)
*taken from the single「夏への手紙」1985

藤井 矢野有美さん、「夏への手紙」。
佐藤 これはアルファレコードが出したアイドルというかね。矢野有美さんなんですけれども。アルバムのプロデュースが岡田徹さん。
藤井 ムーンライダーズの。
佐藤 はい。この曲は当時PSY・Sをやられていた松浦(雅也)さんの曲ですね。松浦さんというと当時PSY・Sというグループで、フェアライト(Fairlight CMI)という機材を使って先鋭的なサウンドを作っていた人なんですけども。たぶんそのデモテープに、このオーケストラヒットの「キャン、キャン」って音が入ってたんでしょうね。たぶん岡田さんもそれをそのまま使ったという感じじゃないかな、と勝手に想像しているんですけど。オーケストラヒットが出始めの頃ですね、はい。
藤井 オーケストラヒットというのが、機材?
佐藤 要は、サンプリングが出始めた頃ですよね。83年ぐらいから出てくるのかな。で、この曲の1年前の84年(?)にフェアライトという機材が出るんですが、サンプリングができることがすごく売りだったんですよ。一番有名なのはイエスの「ロンリー・ハート」('83)。あれは、バグルスのトレヴァー・ホーンのプロデュースで、そのオーケストラヒットが入ってたんです。トレヴァー・ホーンが当時、フェアライトを使って、いろんな効果音のギミックをすごい使ってたんですよね。アート・オブ・ノイズもその頃ですし。
藤井 確かに、言われてみればつながりますね。
佐藤 ええ。もう大流行したわけです、このオーケストラヒットがね。だからアイドルのレコードにもオーケストラヒットが入ってきたと。そんな感じですかね。次、86年行ってみましょうか。こっちかなあ……
藤井 悩みますね。
佐藤 こっちでいいですか、ちょっと話したいことがあるので。この曲、あんまり売れなかったと思うんですけど、江戸真樹さんで「右あがりの初恋」を聴いてください。

08. 江戸真樹♩右あがりの初恋
(作詞:麻生圭子 作曲:古田喜昭 編曲:戸田誠司)
*taken from the single「右あがりの初恋」1986

藤井 江戸真樹さんのね、「右あがりの初恋」。
佐藤 はい。これ、アレンジがSHI-SHONENというグループをやってらした戸田誠司さんですね。戸田さんというのは、すごくコンピュータにも詳しくて、シンセサイザーにも詳しい、それでもギタリストというね。戸田さんは当時からこういうサンプリングとかも、プロ用とかじゃなくて、一般的に売られているアマチュア向けの機材をうまく使っている、という印象で。僕の中で。だから僕らが使っている機材とそんなにかけ離れているわけではないんですよ。でもここでもサンプリングをすごくうまく使ってたりとか、ちょっとDXっぽいようなFM音源の音も聞こえるし。だから、だんだんアマチュアのところにもそういう機材が浸透してきた時代ですよね。僕は当時たぶん高校生だと思うんですけども、バイトして、いろいろ機材とか買ったりしてたぐらいの時期ですね。
藤井 そうしたらあれですよね、身近にあるものでレコードの音が入ってるので、近く感じるというか。
佐藤 そうですね。で、例えば制作現場の写真なんかを見ると、わりと自分と使っているものが同じだったりするとちょっとうれしい、みたいな。やっぱり最初の頃の、YMOは、とてもじゃないけど買えるような機材じゃないので。
藤井 お城ですよね。
佐藤 はい。だからだんだんこうね、「自分もちょっと頑張ったらやれるんじゃないか」みたいな(笑)。
藤井 夢がちょっと。いい話です。
佐藤 ええ。じゃあ次の年行ってみましょうか。87年。次におかけする曲は、ジャッキー・リン&パラビオン。B面曲になりますけど、「ロマンスの扉」を聴いてください。

09. ジャッキー・リン&パラビオン♩ロマンスの扉
(作詞:有川正沙子 作曲:杉山清貴 編曲:船山基紀)
*taken from the single b/w「Strangers Dream」1987

藤井 ジャッキー・リン&パラビオン。
佐藤 はい。アレンジが船山(基紀)さんで。船山さんってすごく機材を導入するのが早くて、さっきもちょっと話が出たフェアライトを船山さんは84年ぐらいに導入してるんですけれども。87年のこれでは、ほぼ全面、もちろんほかの楽器も使っているとは思いますけども、かなりフェアライトの音がガンガンきてますね。
藤井 ああ、じゃあいまの音をフェアライトと認識すれば。
佐藤 そうですそうです。で、フェアライトって最初の頃は、音も粗いしやれることも少なくて。最初は夢のドリームマシンみたいな、「これさえあればなんでもできる」みたいなものだったんだけど、実際に使ってみるとそうでもないと。ほかの機材も使わなきゃいけなかったんだけど、だんだん、これぐらいの時期になるとバージョンも上がってきて、やれることもすごい広がって。で、トニー・マンスフィールドも……
藤井 ニュー・ミュージック(New Musik)の。
佐藤 そう。彼もこの頃はほぼフェアライトで作っているような。だからこれもB面ですけども、歌謡曲でもほぼフェアライトが使われている曲が出てきた、というのが87年ぐらいですね。
藤井 いまの曲なんか、もろラー・バンドですよね。
佐藤 そうそうそう、ラー・バンドね。まあ実際ラー・バンドはフェアライトは使ってなかったですけども。ラー・バンドって意外に庶民的な、日本のローランドとかの機材を使っていることが多くて。そこがまあちょっとかわいらしいところではあるんですけどね。
藤井 面白いですね、うん。……けっこう来ましたね。
佐藤 来ましたね、88年行ってみますか。
藤井 はい。……悩みますね。
佐藤 そうなんですよ。これもいい曲なんだけど、機材の話とかもするにはこっちかな。ちょっとマイナー寄りにはなりますけど、『ラグジュアリー歌謡』にも載せたから。88年、次はKEDGEで「Chime」。聴いてください。

10. KEDGE♩Chime
(作詞:杉本直子 作曲・編曲:冨田KH)
*taken from the single b/w「It's So Easy」1988

藤井 はい、KEDGEの「Chime」。88年。
佐藤 KEDGEというのは2人組なんですけど、ヴォーカルの杉本直子さんという方と、冨田恵一さん。冨田恵一さんといえばいまや冨田ラボで大活躍の冨田さんなんですけども。歌以外のバックは冨田さんが作曲もアレンジも打ち込みもすべてやっていると。だんだん、いろいろな機材が増えてきて、MIDI規格というものもできて何年も経って、MIDIの環境が整いはじめて、「機材を積み上げて一人で全部やる」という人が出てきたんですよね。冨田さんもそういう方で、このレーベルのテープコンテストで優勝してデビューというかたちになるわけですけれども。もうだから、これデビューで出した音とは思えないぐらいの完成度というかね。
藤井 ですよね。普通、別の方がトラックを作ってやるというのはよくある話ですけど。
佐藤 そうそうそう。プロデューサーが付いて。
藤井 新人の二人組がね。
佐藤 そうそう、もうでもすでに完成されているという。
藤井 だから20代ですよね、おそらく。
佐藤 20代半ばくらいですかね。
藤井 すごいですね、貫禄ありますよね。
佐藤 コード進行の感じとかメロディラインとか、いまの冨田ラボとすごく通じるところもあって、芯はぶれてないし。ただその、88年という音の感じは残ってますけどね。で、冨田さんはギターももちろんすごく上手な方なんですけども、ギターまで打ち込んでいたという話で。
藤井 えー、ギターも(笑)。
佐藤 なんでも打ち込まないと気が済まなかったらしいんですよ。
藤井 ああまあそういう、打ち込みの人なんですね、完全に。
佐藤 そうそう。で、一回打ち込んで、また弾き直してみたりとか。よくわかんない、そういうめんどくさいことをやっていたみたいですね。
藤井 ああ。まあでも、本人は落ち着くんでしょうね、一回打ち込むと(笑)。
佐藤 打ち込んでみたい、みたいなね(笑)。まあとにかくね、こういう方が現れはじめた時代なんですよね。で、この後はだんだんこういう人たちが増えてきて、要は「トラックメイカー」と呼ばれる人たちがどんどん出てくるんですよね。例えば小森田さんとかも。
藤井 小森田実さん。
佐藤 はい、アレンジするときは全部自分で。あの人はもちろん自分でコーラスもやりますけど、そういう方が出てきたりとか。あと清水信之さんとかも、自分で機材を揃えて自分で打ち込みをするというスタイルになってきたりとか。なんか、それまでの分業だった部分が、一人で全部やるという人が増えてきた。
藤井 それがちょうど時期には88年ぐらいですか。
佐藤 ええ、87、88年ぐらいから出てくるんですかね。
藤井 ちょうどその後、これを機に、89年、90年代になってくると、がらっと変わってきますよね、だんだんと。
佐藤 そうですね。こういうラグジュアリー歌謡的なゴージャスな音というのはだんだん減ってくるんですよね。渋谷系じゃないですけども、生演奏寄りのものにシフトしていって、でもクラブ文化みたいなものも出てきて、それが合わさったものになっていきますよね。やっぱりこういうバブル的なもの(笑)がだんだんなくなっていくというかね。反動でそういうふうになっていくんですよね。
藤井 だんだん肩パッドが……、ジュリアナ的な感じになっていく感じですよね。
佐藤 ジュリアナ的? うーんそうなのかな。
藤井 コンサバからボディコン、みたいな……
佐藤 ボディコンの世界にはいなかったからよくわからないけど(笑)。
藤井 ごめんなさい、これ完全に妄想です(笑)。はい。ちょうど80年から88年までの流れがいま……歴史が、自分の幼少期と合わせながら。こうやって機材とか、知ってる曲でも聞きながら話を聞くと、当時やっぱりすごかったんだなあと。
佐藤 そうですね。やっぱり自分が機材とかに興味があったのもあるけども、見ていて1年ですごいがらっと変わるんですよ。だからもうほんとに目が離せないというか。音楽もそうだし、機材とかも「こんなの出たんだ!」みたいなのが、数カ月でどんどん変わっていくというね。面白い時代でしたよね、80年代。
藤井 ちょっとそしたら、自分も1曲いいですか。この流れで、岡田有希子さんの2ndアルバム『FAIRY』に入っている「ストライプのジェラシー」という曲を聴いてください。どうぞ。

11. 岡田有希子♩ストライプのジェラシー
(作詞:三浦徳子 作曲:馬飼野康二 編曲:松任谷正隆)
*taken from the album『FAIRY』1985

藤井 はい、お送りしたのは岡田有希子さんの2ndアルバム『FAIRY』に収録の「ストライプのジェラシー」、聴いてもらいました。この曲は馬飼野(康二)さんが作曲で、このアルバムは全部、松任谷正隆さんがアレンジされてまして。で、このシンセの音が浦田(恵司)さん。
佐藤 はいはい、プログラマーのね。
藤井 はい。すごい好きで、この方の音が。
佐藤 浦田さんというのは、さきほども名前が出た森達彦さんという人の師匠にあたるような人で、わりと森さんと音が近いんですよね。こういうのはクレジットされないこともあるんで想像するんですけど、「ああ森さんぽい音だな」と思って森さんに聞くと、「いや、それは俺じゃなくて浦田さんだよ」と言われることがけっこう多くて。最近になってちょっと違いがわかるようになってきましたけど。
藤井 (笑)。
佐藤 浦田さんはほんとに、キラキラして透明感のあるいい音を作る方ですよね。
藤井 はい。さっきの曲の後半のほうに、白玉って言うんですかね、あのフワーッとした音。
佐藤 パッドみたいな音ね。
藤井 うん、あれに弱いんですよね。それがかけたかったので、かけさせてもらいました。はい。じゃあそろそろもう終わりに近づいてきまして、最後に1曲、佐藤さんと私のほうでこれにしようという曲があるので、これを聴きながらお別れしたいと思います。今日はマイクロスターの佐藤さんをお迎えして、機材とかの話を交えながら、すごい勉強になりました。ありがとうございます。
佐藤 ありがとうございました。
藤井 はい。そしたらラストソングですね。これもシンセプログラマーの森達彦さんがやられてまして。浅香唯さんで「Believe Again」を聴きながらお別れしたいと思います。パーソナリティはラグジュアリー歌謡、藤井陽一がお送りしました。

12. 浅香 唯♩Believe Again
(作詞:麻生圭子 作曲:中崎英也 編曲:萩田光雄)
*taken from the single「Believe Again」1988
スポンサーサイト
プロフィール

藤井陽一

Author:藤井陽一
<発売中>
ラグジュアリー歌謡〜(((80s)))パーラー気分で楽しむ邦楽音盤ガイド538〜
(DU BOOKS刊)

「ラグジュアリー歌謡 X Tower to the People」シリーズ
伊藤つかさ『つかさ』
伊藤つかさ『さよなら こんにちは』
伊藤つかさ『タッチ』
伊藤つかさ『ふしぎの国のつかさ』
伊藤つかさ『オススメ!』
伊藤つかさ『夢の振子』
小山茉美『VIVID』
萩田光雄『シークレット・ラヴ』
風見りつ子『アヴァンチュリエ』
伊藤つかさ『ト・キ・メ・キ ライブ +6』
藤村美樹『夢恋人+2』
田中美佐子『スペインへ行きたい』
手塚さとみ『15才の肖像』
鳥越マリ『SEASON+4』
小川知子『Milky Way +2』
斉藤とも子『ありがとう あなた
斉藤とも子『たけくらべ +2』
桑田靖子『バケーション +2』
つちやかおり『BLACK & WHITE +3』

(((Works)))

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Today Luxury No.
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR